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2006年07月05日

「にんげん」

[good 本]

中学のとき「ニンゲンさん」と呼ばれる先輩がいた。

もちろん、あだ名である。
正確に言うと、変化したものらしかった。
元のあだ名は「怪物くん」。
賢明な読者はもう、だいたい想像がついたかもしれない。

眉の乗る骨が前にせり出し、眼のあたりが窪んだ骨格、大きな瞳と長いまつげ。
今思えば、彼はドイツ人サッカー選手のような顔つきをしていた。
それを「ヨーロッパ人っぽい」と取るか、「フランケンシュタインっぽい」と取るかなのだが、他人をほめるということを知らない北陸の田舎町の中学生たちのことである。彼は「フランケン」と呼ばれることになった。
ところが子供たちにとって「フランケン」という名前は、別のキーワードを想起させた。コロコロコミックで育った最初の世代。藤子不二夫先生作品の影響が大きかったのである。
彼のあだ名は、間もなく「怪物くん」に変わった。

自意識が過剰に花開く思春期ど真ん中の少年が「怪物くん」と呼ばれて気持ちいいわけがない。

「おい、怪物くん」
「なあ、怪物くん」
「なにやってんだよ、怪物~!」

栗の花くさい厨房男子としては、無垢なプライドを日々ぼろぼろにされる気持ちだったろう。
彼は次第に、容赦のない、この性根のねじ曲がった友達たちには言うべきことを言わなくてはダメなのだと思うに至った。
そしてある日、決意し、叫び声を上げたのだった。

「俺は、…俺は、"怪物"なんかじゃなああああい!」

裏日本の田舎町の少年としては喝采に値する武勇伝だ。
ぼくがもし彼の立場だったら、そんな風には言えなかっただろう。
しかも彼は、アイデンティティを主張することも忘れなかった。グレートとしかいいようがない。

「俺は、俺は……ニンゲンなんだあああ!


それまで「怪物」呼ばわりしていたまわりの子供たちは、子供たちなりに彼の勇気を受け止めた。
その証拠に、もう誰も彼のことを「怪物くん」と呼ぶことはなかった。

その日から彼は「ニンゲン」と呼ばれることになったからだ。


「おい、ニンゲン」
「なあ、ニンゲン」
「なにやってんだよ、ニンゲン~!」

そして、こんどは律儀な後輩たちが、わけもわからず彼のことを「ニンゲンさん」と呼んだ。
ぼくらにそう呼ばれるとき、彼は、力なく微笑んでいたように見えた。

1981年。マイケルジャクソンが田舎町でも流行りだした頃の、ほほえましくも残酷な物語である。


さて、そんなわけで今回は船井幸雄さんの「にんげん」という書籍の紹介だ。
もちろん「ニンゲンさん」とは何の関係もない。

船井総研の創業者であり、現会長でもある船井幸雄氏に興味を持つようになったのは4月に開催されたイベント「にんげんクラブ」がキッカケだ。

正直な話、船井さんのお話には「???」な内容も多く、最初、面を食らった。
氏が世間一般でいまどのようなポジションにいらっしゃるのかをぼくはまったく知らないのだが、贔屓目に見ても「とんでも系」とか「オカルト」、「新興宗教」に分類されてもいたしかたないのではないかと思う。
ためしに上の「にんげんクラブ」のHPを見てみてほしい。

ところが、「なんじゃこりゃ~?」と思いながらも、話を聞いたり、WEBや本を読み進めてゆくと…

「もしかすると、彼の言うことも一理あるかもしれない」

と思わないではいられなくなる、不思議な説得力がある。

その彼の思想・哲学の核心部分をわかりやすくまとめた本がこの、「にんげん」である。
わかりやすいが、あまりにもコアな話なので、ますます「とんでも系」に見えるところがご愛嬌。
船井幸雄氏の他の著作や講演に触れることなく、いきなりこの本を読んだとしたら、きっと最初の感想は…

「はあ?」

だろう。
いや、自信を持ってそうにちがいない、と言いたい。

ちなみに、この本で紹介されている【有識者の条件】は、こんな調子なのだ!

1)日本経済新聞を読んでいる 
2)精神世界に興味がある    
3)「アセンション」に興味を持ち、「オーリングテスト」という言葉と、そのノウハウを知っている
4)占い師や易学者、チャネラーなどの相談相手を複数持つ


「へ~。オイラ、ほぼ有識者じゃん!」

とうれしくなってしまうのだが、いや、しかし、普通にこの4つの条件を満たす人って単に「ニューエイジ好きの日経読者」なんじゃないの、とツッコミを入れたくなりませんか?


…など、書いていると、ほんとうに長くなってしまいそうなので、とりあえず「と」本扱いで読んでいただきつつ、そこからじっくりと先生の世界に入っていってみてください。
オイラ、最近じゃ、けっこう楽しんでるし、むしろ「信者化」しているかも。。。。。

Posted by Johane at 2006年07月05日 11:57

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